【弁護士が解説】ローパフォーマー社員への対応方法
目次
<ローパフォーマー社員に関する相談事例>
「他の社員に比べて仕事が極端におそい」
「何度注意してもケアレスミスを繰り返す」
「依頼した仕事を忘れてしまう」
上記のような勤務成績の不良な社員が会社にいると、同僚の業務増えることになります。
他の社員に負荷がかかることになり、問題のない社員の離職に繋がることもあります。
また、従業員のミスで取引先に迷惑がかかったために、取引先の信用を失い、会社に損失が生じることもあります。
このようなローパフォーマー社員について、会社はどのように対応すべきでしょうか。弁護士が解説いたします。
懲戒解雇をすることはできない。
仕事でミスを頻発し、会社に損害まで発生した場合には、会社としては、その社員を懲戒解雇したいと考えるのではないでしょうか。
しかし、結論から申し上げると、勤務成績が不良ということだけでは、懲戒解雇をすることはできません。
懲戒解雇ができるケースは、会社内での犯罪行為など極めて限定的な場合に限られています。
勤務成績が不良という理由で懲戒解雇を行うと、懲戒解雇が無効と判断され、さかのぼって賃金の支払義務を負うことになりますので、注意が必要です。
人事考課による処遇
ローパフォーマー社員に対しては、人事考課制度による処遇で対応するのが基本となります。
会社が業績を伸ばすために、社員に求める資質は、能力、健康、勤務態度などになります。
人事考課制度は、上記の要素について、会社の定めた評価基準に基づき、社員を価する制度です。公正な処遇や社員の能力開発を目的としています。
制度の内容は、会社ごとにさまざまです。
一般的には、会社の定める半年毎の期間に、社員ごとに目標を設定したうえで、期末に直属の上司や部長等の考課者が、目標の達成度や勤務態度を査定し、査定表にまとめたうえで、人事部に提出するという方法で行われます。
そのうえで、査定結果について、社員本人と面談してフィードバックを行い、本人と達成度や課題を共有することになります。
ローパフォーマー社員の仕事の効率や能力が他の社員に比べて悪いと、人事考課による査定は当然低い評価になります。
・減給や賞与が減少する
・昇進しない
・降格する
・配置転換の対象となる
実務上の対応としては、以下のような流れで行います。
- 上司が日常の業務の中で、注意・指導を行う。
- 注意・指導は、具体的に行い、必要に応じて書面などで行う。
- 人事考課の結果に基づき、処遇を行う。
懲戒処分の可否
けん責、戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇などの懲戒処分は、社員の企業秩序違反に対して、会社が社員に対して行う特別の制裁罰です。
会社が社員に対して、通常行うことができる人事考課に基づく減給や配置転換とはまったく別の制度です。
ローパフォーマー社員の能力不足について考えると、能力不足では成果を出すことはできませんが、だからといって、企業秩序違反に該当するわけではないので、通常は懲戒処分の対象にはなりません。
したがって、ローパフォーマー社員に対しては、人事考課制度による処遇を行うのが原則ですので、安易に懲戒処分を行うことは控えるべきです。
もっとも、社員の能力や態度の劣悪さが著しく、会社に損害が生じているような場合で、是正の機会を与えても改善の見込みがないような場合、就業規則上の懲戒事由に該当すれば、懲戒処分の対象になることもあります。
その場合は、まずは戒告やけん責などの軽い処分を選択することになります。
そのうえで、改善されない場合は、退職勧奨を行い、合意退職を目指すことになります。
当事務所でサポートできること
ローパフォーマー社員への対応については、まず当該社員に対し、他の社員よりどのような点で劣っているのかを認識してもらい、問題点を共有することが出発点になります。
そのためには、公平な人事考課制度の存在が不可欠になります。
社長が独断で査定を行い、それに基づいて、減給したり、賞与を決めたりしている会社では、まず人事考課制度を導入する必要があります。
当事務所では、人事考課制度構築のアドバイスも行っております。
公平な人事考課制度の導入は、社員のモチベーションアップにもつながり、業績の向上が期待できます。
そのうえで、ローパフォーマー社員への対応についても、対応方針についての助言や書式の提供など多くのサポートメニューを要しております。
ローパフォーマー社員に関するご相談は、ぜひ当事務所にお気軽にお問い合わせください。