顧問弁護士の役割と活用法
目次
顧問弁護士とは
顧問弁護士とは、企業が特定の弁護士と顧問契約を締結して、継続的に相談をしたり、法律上助言を受けるための弁護士です。いわばかかりつけ医のように、中小企業の事業活動において生じる様々な問題に対していつでも迅速に法律上のサービスを提供する弁護士です。
中小企業にこそ顧問弁護士が必要な理由
日弁連が全国の中小企業を対象にアンケート調査を行い、3,887 社から得たデータをまとめた「中小企業弁護士ニーズ調査報告書」(2017年8月報告)によると、過去10年間で弁護士を利用したことがないと回答した企業は全体の約56%で、そうした企業のうち相談できる弁護士がいると答えた割合は約37%にとどまっています。顧問弁護士がいない中小企業が多数を占めているのです。
かつては、中小企業では、対外的な企業との取引においても信用が第一で、何かあった場合には話し合いで丸く収める慣習がありました。
また、従業員との関係においても、労働契約等の規定があいまいで、多少のトラブルがあっても、使用者と従業員との信頼関係で解決してきました。
しかし、現代においてはコンプライアンス(法令遵守)が重視されるようになり、中小企業においても契約書の締結、商標への配慮、雇用契約書の締結、就業規則の整備や各種ハラスメントへの対応などが欠かせなくなっています。
また、お客様との想定外のトラブルも社会問題になっています。モンスタークレーマー、カスタマーハラスメントなどの問題やSNSにアップされた飲食店やコンビニエンスストアでの迷惑行為の動画によって、企業が壊滅的な損害を受ける事態も生じています。
このように、中小企業においても、トラブルとは無縁ではいられなくなっており、法務部や人事部が手薄な中小企業にこそ顧問弁護士が必要なのです。
顧問契約の3つのメリット
紛争の予防
顧問弁護士がいない場合、経営者は適切に相談するタイミングを逃してしまい、問題が相当ひどくなってから初めて相談するということになるケースが多いです。
しかし、仮に訴訟になってしまうと、かかる費用や精神的負担は甚大で、企業経営に多大な悪影響を及ぼしてしまいます。そうならないようにするために有効なのが顧問弁護士で、法律のプロであると同時に、これまで解決にあたった多数の案件を通して豊富なノウハウを蓄積している弁護士と普段からコミュニケーションをとることで、トラブルを未然に防いだり、トラブルがこじれる前に迅速に対応することができます。
例えば、顧問弁護士がいれば契約を結ぶ前に契約書の内容をチェックしてもらえるので、途中解約ができないような不利な内容の訂正を相手に求めることができ、事前にトラブルの芽を摘むことができます。
このように、事前に法律の専門家のアドバイスを受けていれば、紛争を予防できることができたにもかかわらず、相談するタイミングを逸してしまい紛争が拡大することが多いのです。
中小企業において、法務スタッフを置くことは現実的ではありません。法律が絡む問題にもかかわらず、担当者が素人判断で処理してしまい、後に大きな紛争につながることがあります。
また、仮に、紛争が発生しても、早期の段階で法律の専門家のアドバイスに従っていれば、少ない時間と労力で、損害を少なくして解決することができます。
迅速対応
顧問弁護士がいない場合、相談したいことがあれば、知り合いのつてをたどって紹介を受けたり、無料法律相談に電話をすることになると思いますが、すぐに予約が取れるとは限りません。また、相談の際は、企業の業務内容などをいちから説明することになり、問題の本質に至るまでかなりの時間を要することが想定されます。
また、担当する弁護士が相談内容に精通していないこともあるかもしれません。
顧問弁護士は、顧問先企業の業務内容を理解しているので、より早く適切な対応ができます。面談だけではなく、メール、電話、チャットなどですぐに相談をすることができます。いつでも気軽に相談できるため、法律問題になる以前の業務上の疑問点についてもアドバイスを受けることができ、紛争が生じにくい体制を構築することができます。
企業の負担の軽減
実際に、紛争が発生した場合、多くの中小企業では、経営者や担当者が業務のかたわら、相手方と交渉を行うことになります。
相手方とのやりとりには、多大な労力と心理的なストレスがかかります。
本来行うべき営業活動の時間が奪われることによる取引機会の喪失など営業上の損害ははかりしれません。
弁護士が最前線の交渉窓口になることにより、経営者・従業員の方は、安心して本来の業務に専念して頂くことが可能となります。
当事務所では、企業の担当者の方も成長していただけるように、具体的な案件において法的アドバイスをする場合にも、分かりやすく、かつ、論理的に説明するように心がけています。こうすることで、その後、同様の問題に直面した場合に、担当者自ら起こりうる事態を予測して回答を出すことが可能になっていくと考えております。
現在、紛争がなくてもいざというときすぐに対応してもらえるという安心感を得ることができ、経営者の心理的な安心感に繋がります。
また、業務上の法律問題のご相談はもちろんのこと、役員・従業員やそのご家族の個人的な法律相談(交通事故・相続・借金・日常トラブル)にも対応するプランがございますので、福利厚生になります。
取扱業務の例
各種契約書作成・チェック
請負契約、業務委託契約、秘密保持契約等
人事労務
労働紛争への対応、就業規則作成、解雇をめぐる問題への助言、労働審判への対応、紛争予防
クレーム対応
損害賠償交渉
訴訟対応
訴訟提起、訴訟に対する防御