fbpx

1.卸売業・小売業の皆さまへ

福井県の事業所数は約4万あり、人口1000人当たりの事業所数を都道府県別に見ると、全国1位となっています。

そのうち、卸売業・小売業は、福井県内に9303事業あり、産業全体における割合は23.6%と最も高くなっています。

そして、卸売業・小売業に携わる従業員数は、69,174人となっており、全産業の従業員数の18.5%が卸売業・小売業に従事しています。
(引用令和3年経済センサス)

このように福井県には、製造業に関わる企業が数多くあります。
しかしながら、県内の製造事業者には、特定の注文主からの仕事に依存している企業も多く、その場合、注文主側の企業が、中小の製造事業者の法的な課題についても事実上解決を支援してきた実情もあるようです。

そのため中小の製造事業者においては、法的リスクについて合理的に解決する方策を持ち合わせておらず、そもそも製品事故や企業間紛争が発生した場合の損害の甚大さすら理解していないことも多いように思います。

そこで、多くの製造業者の顧問弁護士として活動している弁護士が、これまで経験した事例を踏まえて、製造事業者特有の法的リスクについて解説します。

2.卸売業・小売業特有の法的リスク

(1)契約・取引に関するリスク

売買基本契約書の重要性

契約書作成の意義は、権利義務の発生及びその内容を明確にし、さらに、交渉担当者以外の者への証明手段を残すことにあります。
そして、後日、契約当事者間に取引上のトラブルが生じた場合には、契約書が解決の指針になり、紛争を予防する機能を果たします。

このように契約書は企業法務の基本となる重要なものですが、残念ながら卸売業・小売業事業者においては、契約書の重要性や契約書に潜むリスクを理解しておらず、簡単な注文書のみで取引を行っていることが多くあります。さらには、注文書すら作成せず、口頭で受注を行っていることもあるのが実情です。

卸売業・小売業において発生する契約トラブルとしては、納入された商品の品質に問題がある場合、予定されていた納期に商品が納入されなかった場合などがあります。
契約書を作成していなかったり、作成されていても想定されるトラブルに対応する条項が明確に規定されていなければ、解決をすることは容易ではありません。

卸売業・小売業の事業者においては、まずは商品の仕入先との間で、必要事項を網羅した売買基本契約書を作成することが、契約トラブルを予防する出発点となります。

当事務所では、事業及び取引に即した内容で、契約書の作成を行っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

売掛金回収

卸売業においては、売買代金の未払いのリスクがあります。
一般的な売買代金の債権回収業務は、以下のように行います。

  1. 文書により支払を促す
  2. 弁護士名で内容証明郵便を送付し、支払を促す
  3. 訴訟・支払督促などの法的手続により債務名義を取得する
  4. 債権執行などの強制執行手続をする

単なる売買代金の債権回収業務であれば、上記の手続を踏めば、相手に資力がある限り回収はそれほど問題なく可能です。
しかし、実務上は、相手方から契約不適合による債務不履行や損害賠償を主張されることが多く、争点が複雑化し、回収に期間を要することが多いです。

当事務所が過去に取り扱った紛争事案では、取引基本契約書が作成されていなかった場合がほとんどです。
卸売業・小売業の皆さまにおいては、ぜひとも取引基本契約書を作成することをお勧めいたします。取引の実情に応じた契約書を作成することで、債権回収も容易に進めることが可能になります。

(2)カスタマーハラスメント対応

小売業を経営している限り、お客様とのトラブルとは無縁ではいられません。
店舗内での転倒事故などお客様から損害賠償請求をされるケースもあります。

お客様からの正当な要望であれば、誠実に対応する必要があります。
しかし、最近では、カスタマーハラスメントといって、店員に対して大声で怒鳴ったり、土下座を要求したりなど、度を超えた要求を行ったりするケースもあります。

カスタマーハラスメントは一生懸命働いている従業員を傷つける許しがたい行為です。事業者としては、安全配慮義務として、カスタマーハラスメントを防止する義務があります。

カスタマーハラスメントに対する基本的な対応方針は以下のとおりです。

  1. 組織的に対応する必要があること
    ハラスメント行為への対応は、経営者が組織的全体として取り組んでいくべき問題です。経営者が、ハラスメントを組織として許さない姿勢であることを従業員に周知することも大切です。
  2. 初期対応が重要であること
    お客様の不適切な行為や過度な要求に対して、要求に応じたりすると、更なるハラスメントを誘発し、行為がエスカレートすることがあります。理不尽な要求には、初動の段階から毅然とした対応をすることが重要です。
  3. ハラスメント情報を共有し、1人で抱え込まないこと
    問題が起こった際は、会社全体で情報を共有し、被害を受けた従業員一人に対応させず、組織全体で対応する必要があります。

当事務所では、カスタマーハラスメント対応の支援も行っています。
早めにご相談をいただき、対処法をアドバイスしながら、適切な解決を図っていきます。問題の初期からご相談いただくことで、初動対応を誤ることなく、スムーズな問題解決に至ることがあります。
また、対応そのものを外部の専門家に任せることによって、本来の業務に専念することができます。
小売業の経営者の皆さまは、ぜひ当事務所にご相談ください。

(3)従業員に関するリスク

未払賃金請求

小売業の店舗では、シフト勤務や変形労働時間制がとられていることが多く、それに対応する就業規則等の整備が必要になります。
また、慢性的な人手不足により、長時間労働が見過ごされている実情もあり、未払賃金が発生しやすい業界となっています。

特に注意が必要なのが、店長を管理職として取り扱い、残業代を支払わないという対応です。
労働基準法第41条の管理監督者に該当する場合は、残業代を支払う必要はありませんが、労働基準法が定める管理監督者は、経営者と一体的な立場にある者をさし、極めて狭く解釈されており、サービス業の店長の多くは、管理監督者に該当しません。

したがって、店長であっても適切な労務管理を行い、労働時間を把握したうえで、正当な賃金を支払う必要があります。

残業代計算における基本的な考え方は、以下のとおりです。
残業代 = 時間単価 × 残業した時間 × 割増率
時間単価の算出方法は、労働基準法施行規則に定められていますが、月給制の場合、月給を所定労働時間で割った金額になります。
次に、タイムカードや入退館記録などにより実労働時間を確定させます。実務上は、準備作業や後始末作業の時間、待機時間、移動時間などが労働時間に含まれるかが争点になります。
最後に、労働基準法上の割増率を確認し、残業代を計算することになります。
実務上は、専用ソフトを使用して、一覧表を作成して残業代を把握します。

具体的な請求の流れとしては、従業員側の代理人弁護士から内容証明郵便が事業者に届くことが一般的です。交渉がまとまれば、合意書を取り交わします。
交渉がまとまらなければ、従業員側から労働審判ないし民事訴訟が提起されます。

残業代請求訴訟において、主要な争点に労働時間があります。従業員側が主張する労働時間が、そもそも労務を提供していたのかという事実問題として争いになり、さらに、労働時間の始期・終期、残業禁止命令、残業承認制、休憩時間など、労働時間該当性という評価の問題として争いになることも多いです。
また、使用者側が、固定残業代や手当として支払っていると主張することも多いです。

残業代について誤った認識で運用を行っていた場合、突然従業員から莫大な金額を請求されるリスクがあります。
こうしたリスクを避けるためには、まず、事業者において、労働時間を把握し、管理することがなによりも重要になります。
また、固定残業代など事業主側が残業代を抑えるために導入した制度に不備があり、かえって未払賃金を増やしてしまうこともあります。

当事務所では、未払残業代の請求に対する事業者側の代理人として数多くの経験があります。残業代の請求を受けた場合は、ぜひご相談ください。

解雇をめぐるトラブル

「上司の指示に従わず反抗的な態度をとる」「遅刻を繰り返す」「同僚にマルチ商法の勧誘をする」「業務上のミスを頻発する」
このような問題社員は解雇して当然と考える事業主も多いと思います。

しかし、上記の理由でいきなり解雇をすると、いずれの場合も解雇無効と判断されてしまいます。

すなわち、解雇には法的ハードルが高く設けられており、労働法制においては、いわゆる能力不足、欠勤などの通常の債務不履行のみでは解雇できない制度になっています。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。
解雇が無効になった場合、従業員の地位に留まることになり、会社側は従業員に対し、未払の賃金の支払義務を負うことになります。

では、上司の命令に従わない従業員に対してどのように対応すればよいのでしょうか。
従業員が上司の指示命令に従って労務の提供をするということは労働契約の基本的な内容といえます。
そこで、上司の指示が業務命令であることを明確したうえで、これに従わない場合、まずは口頭で注意・指導をし、従わない場合は、さらに譴責などの懲戒処分をします。
それでも改善が見込まれなければ、従業員からの申し出による退職の可否、普通解雇の可否を検討することになります。

当事務所で取り扱った事例では、入社直後から問題行動を繰り返す従業員に対して、詳細に上司や同僚からヒアリングを行ったうえで、就業規則上の懲戒処分を段階的に進めていきました。最終的に普通解雇により雇用契約を終了させました。

問題社員への対応では、企業側がいきなり解雇を選択すると、企業側の敗訴が濃厚となります。
当事務所では、労働紛争に豊富な実績があり、裁判において、解雇・懲戒が有効・無効となるケースについても熟知しております。労働問題については、ぜひ弁護士に事前にご相談ください。

同一労働同一賃金施策への対応

同一労働同一賃金施策とは、同一企業におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パート、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の改善を目指すものです。

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)が改正され、令和3年4月1日より中小企業にも適用されるようになりました。

同法8条では均衡待遇規定(不合理な待遇の禁止)、9条では均等待遇規定(差別的取り扱いの禁止)が設けられており、事業主は、正規労働者と非正規労働者との間で不合理な待遇をすることが禁止されています。

上記規定は正規と非正規との賃金・手当等について、一切相違を設けてはならないというものではなく、あくまで不合理な相違を設けることが禁止されています。では、いかなる相違が不合理と評価されるのでしょうか。

ハマキョウレックス事件、メトロコマース事件、日本郵便事件などの裁判例において、基本給・賞与・退職金・皆勤手当・住宅手当などの相違が不合理なものといえるかについて判断が示されています。

それらで示された見解について、スーパーマーケット等の小売業に当てはめて考えてみると、例えば、正規労働者がA店舗の副店長と非正規労働者がB店舗の副店長のケースでは、いずれも副店長の立場で、ともに店長のサポートを中心とした店舗における業務全般のマネジメント業務や従業員のシフト管理、売上の確認などを行っており、従事している中核的業務は同一です。しかし、A店舗の正規労働者は、上記業務に加えて人材育成の業務及び責任を担っていて、非正規労働者には人材育成の業務及び責任が求められていないとすれば、職務内容は異なると判断することができ、賃金について一定の相違を設けることも不合理とはいえないと思われます。

他方、作業手当、早出・夜間手当、食事手当などは同一労働の場合に際を設けることは不合理と判断される可能性もあるため慎重な検討が必要となります。
なお、給食施設、休憩室、更衣室の利用については、パート・有期労働者にも利用の機会を与えなければならないことが義務化されました。

なお、事業主は、雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、通常の労働者との待遇の相違の内容及び理由などを説明する義務があります(パートタイム・有期雇用労働法14条)。

事業主としては、改めて賃金、手当等の制度を確認したうえで、不合理な待遇差があればそれを解消する必要があります。そして、非正規労働者から説明を求められた場合は、待遇の違いの有無、その内容、理由を合理的に説明することになります。

3.当事務所でサポートできること

当事務所の弁護士は、測定器メーカーに勤務経験があり、数多くの現場を実際に訪問した経験があります。

実際に現場を確認することで、課題を適切に解決することができました。
また、現場担当者すら気付いていない潜在的なニーズを把握し、提案型の営業をすることを心掛けていました。

当事務所のリーガルサポートにおいても、上記のような姿勢を大切にしています。
例えば、労働紛争事案においても、店舗側の事情やトラブル発生の経緯をヒアリングしながら事実関係をしっかりと把握し、丁寧な事案対応を心掛けています。また、ヒアリングの結果、見えてきた周辺の課題について、予防法務の観点から整備を行うこともあります。

このように、当事務所では、経営者、担当者の方とコミュニケーションを密にとりながら、企業の置かれた状況において、最良の手段を講じつつ、トラブルが生じるリスクそのものを下げるための予防法務にも力を入れております。

当事務所で対応可能な法的支援は多岐にわたりますが、主な支援内容は以下のとおりです。

  • ハラスメント対応
  • パワハラなどの労働紛争
  • 未払残業代請求
  • 解雇をめぐる紛争
  • 訴訟対応
  • 就業規則等の社内規定整備
  • 懲戒手続等のサポート
  • 各種契約書作成・リーガルチェック
  • フランチャイズ契約に伴うトラブル対応
  • 債権回収
  • 商業登記
  • 事業承継・M&A
  • 株主調査・管理支援
  • 会社分割・合併等の組織再編